「親が甘やかしすぎると子供が不登校になる」
このような言葉を見て、「自分の育て方が原因だったのではないか」「もっと厳しく接するべきだったのではないか」と悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、親が甘やかしすぎたことだけが原因で、子供が不登校になるとは断定できません。
不登校には、学校での人間関係、学習上の困難、生活リズム、心身の不調、家庭環境、本人の性格や発達特性など、複数の要因が関係していると言われています。
一方で、子供の失敗をすべて避けさせたり、本人ができることまで親が代わりに行ったりする関わりが続くと、子供が自分で問題を解決する経験を積みにくくなる可能性があります。
その結果、不安な状況を避ける傾向や、「自分一人ではできない」という感覚が強まり、学校へ行けない状態が長引く一因になることは考えられます。
問題になる可能性があるのは、子供に愛情を注ぐことではなく、子供が自分で考え、失敗し、立て直す経験まで奪ってしまうことです。
この記事では、「親が甘やかしすぎると子供が不登校になる」と言われる理由や、親の甘やかしと不登校の関係について、公的機関や海外研究の情報をもとに解説します。
また、ジュニア留学やサマーキャンプ、ウィンターキャンプの現場で子供たちを見てきた経験から、子供の自立を支える関わり方や、環境を変える選択肢についても紹介します。
親が甘やかしすぎると子供が不登校になるとは限らない
「親が甘やかしすぎると子供が不登校になる」という考え方には、注意が必要です。
現時点の研究では、親の甘やかしや過保護だけが原因となり、子供が不登校になるという因果関係は証明されていません。
海外で行われた学校拒否に関するシステマティックレビューでは、親の精神的な不調、家族関係の機能、母親による一部の過保護的な関わりと、子供の学校拒否との関連が報告されています。
しかし、このレビューで対象となった研究は8件に限られ、そのうち7件は、ある一時点の状態を調べる横断研究でした。
横断研究では、「親の関わり方と学校拒否が同時に見られた」という関連は調べられても、どちらが先に起きたのかまでは判断できません。
つまり、親の過保護な関わりが子供の学校拒否につながった可能性だけではなく、子供が学校に行けなくなったため、心配した親の関わりが強くなった可能性もあります。
「親が甘やかしたから不登校になった」と一方向に決めつけることはできません。
また、過保護とされる関わりのすべてが、学校拒否と関連していたわけではありません。
親が愛情を示すことや、子供を手助けすることについては、研究結果が弱い、または一貫していないと報告されています。
比較的明確な関連が確認されたのは、親が子供の行動や気持ちを細かく確認し、必要以上にコミュニケーションへ介入する「コミュニケーション面の過保護」でした。
子供を大切にすること、つらいときに休ませること、必要な手助けをすること自体が、不登校の原因になるわけではありません。
注意したいのは、子供が自分で考えたり、選択したり、失敗したり、助けを求めたりする機会まで、親が先回りして奪ってしまうことです。
参考:https://link.springer.com/article/10.1007/s10578-022-01358-z
不登校の子供は増えている
文部科学省によると、令和6年度の小学校・中学校における不登校児童生徒数は、約35万4,000人となりました。
小中学校の不登校児童生徒数は12年連続で増加し、過去最多となっています。また、高校の不登校生徒数も約6万8,000人と報告されています。
これほど多くの子供が不登校になっている状況を考えても、その原因を「親の甘やかし」だけに求めることはできません。
文部科学省の調査では、不登校の子供について学校が把握した事実として、次のような相談や状況が多く挙げられています。
- 学校生活に対してやる気が出ない
- 生活リズムが乱れている
- 不安や抑うつに関する相談がある
- 学業不振や宿題の未提出が見られる
- 友人関係をめぐる問題がある
ただし、これらはあくまで学校が把握した事実であり、不登校の原因を一つに特定するものではありません。
外からは「甘えて休んでいる」「親が休ませすぎている」ように見えても、本人の中には、言葉で説明しにくい不安や疲労、学習上の困難が隠れている可能性があります。
不登校という表面上の行動だけを見るのではなく、その行動の背景に何があるのかを確認することが重要です。
参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm
学校・子供・保護者で不登校の原因に対する認識が異なる
文部科学省が実施した不登校の要因分析に関する調査研究では、教師が考える不登校の要因と、子供本人や保護者が感じている要因との間に、認識の差があることが示されています。
特に、教師から見て、いじめや友人とのトラブル、親子関係の問題などの明確な出来事が確認できない場合、「無気力・不安」が主な要因として選ばれやすい可能性が指摘されています。
一方、子供本人は、授業の分かりにくさ、先生との関係、教室の雰囲気、身体的な不調など、学校側が把握できていない苦しさを感じている場合があります。
本人が説明できないからといって、原因がないわけではありません。
子供自身も、なぜ学校へ行けないのかを明確に説明できないことがあります。
複数の小さな負担が積み重なり、ある日から登校できなくなっている場合、本人に「理由を説明して」と迫っても、すぐには答えられません。
子供が理由を答えられない状態を、「甘え」「怠け」「わがまま」と決めつけないようにしましょう。
参考:https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00484.html
「甘えを受け止めること」と「甘やかすこと」の違い
子供の甘えを受け止めることと、子供を甘やかすことは同じではありません。
子供がつらいときに話を聞き、安心できる場所を用意することは、子供の心を守るために必要な関わりです。
子供の気持ちを受け止めることは、子供の要求をすべて受け入れることではありません。
一方で、子供が少し努力すればできることまで親が代わりに行い、失敗や不快な経験をすべて取り除いてしまうと、自立するための機会が減ってしまいます。
| 甘えを受け止める関わり | 甘やかし・過保護になりやすい関わり |
|---|---|
| 子供のつらい気持ちを否定せずに聞く | 子供が嫌がることをすべて取り除く |
| 必要な部分だけを手助けする | 本人ができることも親が代わりに行う |
| 子供自身に選択肢を渡す | 親が先回りしてすべて決定する |
| 失敗した後に一緒に対応を考える | 失敗しそうなことには最初から挑戦させない |
| 助けを求める方法を教える | 困る前に親がすべて解決する |
| 年齢や状態に応じた役割を任せる | 生活上の責任をほとんど持たせない |
| 本人が話すまで待つ | 子供の気持ちや考えを親が代弁する |
重要なのは、「助けるか、助けないか」という二者択一ではありません。
子供が自分で取り組める部分を残しながら、難しい部分だけを支えることが大切です。
例えば、学校へ欠席連絡をすること自体は保護者が行っても、「先生に何を伝えてほしいか」は、子供に選んでもらえます。
子供の状態に合わせて、自分で考えられる部分、自分で選べる部分、自分で行動できる部分を少しずつ増やしていきましょう。
親の甘やかしや過保護が不登校に関係する可能性
親の甘やかしや過保護だけで不登校になるとは言えません。
ただし、親の関わり方によっては、子供の学校への不安や回避行動が強まる可能性があります。
不登校の直接的な原因ではなくても、不安や回避行動を長引かせる一因になる可能性はあります。
自分で問題を解決する経験が減る
親が子供の問題をすべて解決していると、子供は困った状況を自分で乗り越える経験を積みにくくなります。
過保護な関わりについての研究では、発達段階に合った課題へ子供が一人で対処する機会を制限すると、環境をコントロールできるという感覚や、自分の能力に対する自信が育ちにくくなる可能性が指摘されています。
また、「世の中は危険な場所である」「自分一人では対処できない」というメッセージが、意図せず子供へ伝わることもあります。
学校生活では、友達との行き違い、苦手な授業、先生への相談、忘れ物、発表、集団行動など、思いどおりにならないことが日常的に起こります。
小さな問題を自分で解決する経験が少ないと、学校で困ったときに「どう対応すればよいか分からない」と感じやすくなります。
失敗を必要以上に怖がるようになる
親が失敗を避けさせ続けると、子供は「失敗してもやり直せる」という経験を積めません。
そのため、少しでもうまくいかない可能性があると、最初から挑戦を避けるようになることがあります。
私たちがジュニア留学や海外キャンプで子供たちを見てきた中でも、最初から積極的に行動できる子供ばかりではありません。
英語でうまく伝えられないことを恐れ、食事を受け取りに行けなかったり、アクティビティへの参加をためらったりする子供もいます。
しかし、スタッフに一言質問できた、買い物で自分の希望を伝えられた、同年代の子供と一緒に活動できたという小さな経験を積むと、少しずつ自分から行動する傾向があります。
子供に必要なのは、一度も失敗しない環境ではなく、失敗しても助けを求められ、もう一度挑戦できる環境です。
自分で決めることが苦手になる
親が日常生活や進路について先回りして決め続けると、子供は自分で選択する経験が少なくなります。
何を着るか、何を食べるか、いつ勉強するか、どの活動へ参加するかといった小さな選択も、自分で考えるための練習です。
小さな選択をほとんど経験しないまま、学校や進路で大きな選択を求められると、子供は強い不安を感じることがあります。
親が正しい答えを与え続けるよりも、子供自身が選び、その結果を経験することが大切です。
ただし、いきなりすべてを本人に任せる必要はありません。
「学校へ行くか行かないか」のような大きな選択だけではなく、「担任と話すか、養護教諭と話すか」「午前中に起きるか、お昼まで休むか」など、本人が選びやすい選択肢から始めましょう。
不安を避ける行動が固定される
子供が学校に不安を感じたとき、休むことで一時的に気持ちが楽になることがあります。
心身の疲労が強い時期には、十分な休養が必要です。
しかし、本人の状態を確認しないまま、不安を感じることをすべて避け続けると、「不安なものから離れれば安心できる」という行動が固定される可能性があります。
休ませること自体が問題なのではなく、休んでいる間に本人の状態を確認せず、あらゆる不安を避けさせ続けることには注意が必要です。
ここで大切なのは、不安な気持ちを否定することではありません。
「怖がってはいけない」「学校へ行きなさい」と強制するのではなく、不安を受け止めながら、本人ができそうな小さな行動を一緒に考える必要があります。
休養と回避は同じではありません。必要な休養を取りながら、少しずつ社会との接点を残すことが重要です。
参考:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8551038/
親の不安が子供に伝わる
子供が不登校になると、保護者も強い不安を抱えます。
「このまま進学できないのではないか」「将来働けなくなるのではないか」と心配し、子供の行動を細かく確認したくなることもあるでしょう。
海外のシステマティックレビューでは、母親の不安と過保護な関わりには、小から中程度の関連が示されています。
一方で、親の不安が過保護を生むだけではなく、不安の強い子供に対応する中で、親の関わりが強くなっている可能性もあります。
親の不安と子供の不安は、どちらか一方が原因なのではなく、互いに影響し合っている場合があります。
例えば、子供が学校を怖がるため親が心配になり、親が先回りすることで子供が自分で行動する機会を失い、さらに子供の不安が強くなるという循環です。
この循環から抜け出すためには、子供だけでなく、保護者自身も学校や専門機関へ相談し、家庭内で抱え込まないことが大切です。
参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34509069/
甘やかし以外にも不登校の原因はある
不登校について考えるときは、家庭での関わり方だけでなく、子供を取り巻く環境を広く確認する必要があります。
学校拒否に関する海外のシステマティックレビューでは、不安や不安に関連する症状、学習上の多様なニーズなどが、学校拒否のある子供とそうでない子供を分ける重要な要素として報告されています。
不登校は、子供本人、家庭、学校、友人関係などが複雑に関係する問題として捉える必要があります。
不登校の背景には、次のような事情が重なっている可能性があります。
- 友人関係のトラブルやいじめ
- 先生との関係
- 授業の難しさや学習の遅れ
- 発表や集団行動への不安
- 学校のルールや雰囲気との相性
- 集団生活による疲労
- 発達特性や感覚の過敏さ
- 不安や抑うつなどの心身の不調
- 睡眠や生活リズムの乱れ
- 進学や成績へのプレッシャー
- 家庭環境や生活環境の変化
- 本人と学校環境との相性
親の関わり方を振り返ることは大切です。
しかし、親だけに原因を求めると、学校環境の調整や学習支援、医療的な支援など、本当に必要な支援を見落とす可能性があります。
不登校の原因を最初から「親の甘やかし」に決めつけることは避けましょう。
参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36422762/
親が甘やかしすぎていないか確認するポイント
次の項目に当てはまるからといって、必ず甘やかしすぎているわけではありません。
ただし、複数の項目が長期間続いている場合は、子供自身が考えたり行動したりする機会を増やせないか、振り返ってみましょう。
- 子供が答える前に、親が代わりに説明している
- 先生や友達への連絡をすべて親が行っている
- 子供が失敗しそうなことには挑戦させない
- 子供の機嫌を悪くしないことを最優先している
- 年齢に応じた家事や生活上の役割がない
- 子供が困る前に必要な物や答えを用意している
- 学校を休むかどうかを、毎回親だけで決めている
- 子供が嫌がると、家庭内の約束をすぐに変更している
- 本人よりも親が進路や将来を決めている
- 子供が話すべき場面でも親が代わりに話している
- 本人ができる身支度や片付けも親が行っている
- 失敗しないように、友人関係へ細かく介入している
当てはまる項目があっても、子供を急に突き放す必要はありません。
これまで親が担っていた役割の一部を、子供の状態に合わせて少しずつ本人へ返していくことが大切です。
例えば、翌日の予定を本人に選んでもらう、食事の片付けを任せる、先生への質問内容を本人に考えてもらうなど、小さなことから始められます。
※急にすべての手助けをやめると、子供が「見捨てられた」と感じる可能性があります。支援を減らすときも、本人と相談しながら段階的に進めましょう。
子供が不登校になったときの親の対応
親の責任だと決めつけない
最初に必要なのは、「私が甘やかしたから不登校になった」と自分を責めすぎないことです。
親が強い罪悪感を抱えたまま対応すると、急に厳しくなったり、反対に子供へ何も言えなくなったりして、関わり方が不安定になることがあります。
不登校は複数の要因が重なって起こると言われており、誰か一人の責任として考えるべき問題ではありません。
まずは原因を一つに決めつけず、子供が現在どのようなことに困っているのかを確認しましょう。
登校だけを最終目標にしない
文部科学省は、不登校支援について、「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、本人が自分の進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があるとしています。
また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すために必要な場合があることも示しています。
学校へ戻ることだけが、不登校支援のゴールではありません。
学校へ戻すことを急ぎすぎると、子供は「自分の気持ちより、登校できるかどうかだけを見られている」と感じることがあります。
休養、学習、人とのつながり、生活リズム、進路などを分けて考え、現在取り組めることから始めましょう。
参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
気持ちを受け止めても、すべてを代行しない
子供が「学校へ行きたくない」と話したときは、まず気持ちを受け止めます。
その場ですぐに理由を問い詰めたり、登校するよう説得したりするのではなく、「今は学校へ行くことがつらいんだね」と、本人の状態を確認しましょう。
ただし、本人ができることまですべて親が行う必要はありません。
例えば、学校への連絡自体は保護者が行うとしても、「先生に何を伝えてほしいか」は本人に選んでもらえます。
子供を支えるときも、本人が考えたり選んだりできる部分を残すことが重要です。
例えば、次のような声かけが考えられます。
「今日は休みたいんだね。先生への連絡はするけれど、体調が悪いと伝えるか、教室に入るのが不安だと伝えるかは、自分で選んでみよう」
このように、子供の状態に配慮しながら、本人が決められる部分を残します。
小さな役割と選択肢を渡す
不登校中であっても、家庭内でできる小さな役割を持つことは、自分が必要とされている感覚につながります。
朝食後の食器を片付ける、洗濯物をたたむ、昼食を選ぶ、ペットの世話をする、翌日の予定を決めるなど、負担の少ないことから始めましょう。
「何もできない状態」から、いきなり「毎日学校へ行く状態」を目指す必要はありません。
自分で起きる、着替える、食事を取る、外に出る、家族以外の人と話す、興味のある活動へ参加するといった段階を一つずつ積み重ねます。
重要なのは、親が命令することではなく、本人が選べる形にすることです。
「洗濯物をたたむことと、食器を片付けることなら、どちらができそう?」というように、選びやすい選択肢を用意しましょう。
家庭内のルールをすべてなくさない
子供がつらそうだからといって、家庭内のルールをすべてなくす必要はありません。
起床時間、食事、ゲームやスマートフォン、家事などについては、本人の状態を考慮しながら、家族で約束を決めましょう。
家庭内のルールは、子供を罰するためではなく、生活を安定させるために設けます。
保護者だけで決定せず、「今の状態で守れそうな約束は何か」を本人と話し合うことが大切です。
ゲームやスマートフォンを取り上げれば登校するとは限りません。
利用時間を調整する場合も、不登校への罰として一方的に制限するのではなく、睡眠や食事などの生活リズムを整える目的を説明しましょう。
学校や専門機関と連携する
不登校の背景には、家庭だけでは判断できない問題が隠れている場合があります。
担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育支援センターなどへ相談し、家庭と学校で情報を共有しましょう。
心身の不調が続いている場合は、小児科や児童精神科、精神科、心療内科など、適切な医療機関への相談が必要になることもあります。
不登校を家庭の中だけで解決しようとせず、学校・医療・福祉など複数の支援先とつながることが大切です。
海外のレビューでは、学校拒否に対する認知行動療法などの心理社会的介入によって、登校状況が改善する可能性が示されています。
ただし、不安そのものへの効果は明確ではなく、対象となった研究数も少ないため、すべての子供に同じ方法が有効とは限りません。
本人の状態や不登校の背景を確認したうえで、適切な支援方法を検討する必要があります。
参考:https://www.campbellcollaboration.org/review/psychosocial-interventions-for-school-refusal/
不登校の子供への声かけで意識したいこと
不登校の子供には、正論を伝えるよりも、本人が自分の状態を言葉にできるような声かけが必要です。
「どうして学校へ行けないの?」と理由を求めても、本人にも分からないことがあります。
理由を一度に説明させるのではなく、質問を小さく分けることが大切です。
例えば、次のような声かけが考えられます。
- 「朝起きたとき、体と気持ちのどちらがつらい?」
- 「教室、授業、休み時間の中では、どれが一番つらい?」
- 「学校へ行く以外で、今できそうなことはある?」
- 「今日は一人でいたい?誰かと少し話したい?」
- 「手伝ってほしいことと、自分でやりたいことを教えて」
- 「先生に伝えてほしいことはある?」
- 「今、一番減らしてほしい負担は何?」
すぐに答えが出なくても問題ありません。
親が答えを決めるのではなく、本人が自分の状態を理解する時間を作ることが大切です。
話したくないときに無理に話させない一方で、「話したくなったら聞くよ」と伝え、対話できる関係を残しましょう。
不登校の子供に避けたい対応
急に厳しくする
「甘やかしたことが原因かもしれない」と考え、突然厳しく接することは避けましょう。
これまで手伝っていたことをすべてやめたり、無理に学校へ連れて行ったりすると、子供との信頼関係が崩れる可能性があります。
不登校を改善するために、子供を突き放したり、恐怖や罰で登校させたりすることは適切ではありません。
自立を促すことと、支援を突然打ち切ることは異なります。
兄弟や同級生と比較する
「兄は毎日学校へ行っていた」「同級生は受験勉強をしている」と比較すると、子供は自分を否定されたと感じることがあります。
不登校の子供は、学校へ行けない自分に対して、すでに強い罪悪感や劣等感を持っている場合があります。
他の子供ではなく、本人の昨日や先週の状態と比べ、小さな変化を確認しましょう。
将来の不安を繰り返し伝える
保護者が将来を心配するのは自然なことです。
しかし、「このままでは高校へ行けない」「将来働けない」と繰り返し伝えると、子供の不安がさらに強くなる可能性があります。
将来の問題を一度に解決しようとせず、現在の生活や次の小さな行動へ目を向けましょう。
不登校中の楽しみをすべて禁止する
学校へ行けないのに、ゲームや動画、趣味を楽しんでいる姿を見ると、保護者が複雑な気持ちになることもあるでしょう。
しかし、不登校中の楽しみをすべて禁止すると、子供が気持ちを回復させる機会や、他者とつながる手段まで失う可能性があります。
生活リズムへの影響は確認しつつ、趣味や好きなことを、回復や社会との接点として活用する視点も必要です。
※昼夜逆転や課金などの問題がある場合は、全面禁止ではなく、利用時間や利用方法を本人と具体的に話し合いましょう。
不登校の子供に留学という選択肢はある?
不登校の子供にとって、留学は選択肢の一つになり得ます。
ただし、留学は不登校を治すための治療ではありません。
また、「海外へ行けば性格が変わる」「厳しい環境へ入れれば自立する」と考えるのは危険です。
本人が希望していない留学を、子供を変えるための手段として強制してはいけません。
本人が留学を望んでいるか、心身の状態が海外生活に耐えられるか、困ったときに相談できる体制があるかを慎重に確認する必要があります。
一方で、日本の学校で固定された人間関係や評価から一度離れ、新しい環境で役割を持つことが、子供にとって転機になる場合があります。
私たちが不登校経験のある生徒や、学校生活に悩みを抱えている生徒を留学・キャンプの現場で見てきた中では、日本での自分を知らない人たちと生活することで、少しずつ発言や行動が増える子供には、次のような傾向があります。
- 過去の成績や欠席状況だけで判断されない
- 英語力だけでなく、行動や協力する姿勢を評価される
- 親以外の大人へ相談する経験ができる
- 身の回りのことを自分で行う必要がある
- 自分と異なる価値観を持つ友達に出会える
- 小さな成功体験を積み重ねやすい
- 日本の学校とは異なる役割を持てる
特にサマーキャンプやウィンターキャンプでは、授業だけでなく、スポーツ、食事、寮生活、買い物、アクティビティなど、さまざまな場面で自分から行動する機会があります。
初日はスタッフの後ろに隠れていた子供が、数日後には自分から友達を誘ったり、必要な物を英語で伝えたりすることもあります。
保護者から離れること自体が成長につながるのではなく、支えてくれる大人がいる環境で、自分で行動する範囲が広がることに意味があります。
留学も、学校復帰を強制する方法ではなく、本人に合った学び方や環境を探す一つの選択肢として考えることが大切です。
最初は短期留学から相性を確認する
不登校の子供が留学に興味を持っている場合でも、すぐに長期留学を決める必要はありません。
まずは1週間から数週間程度のサマーキャンプやウィンターキャンプ、短期留学で、海外生活との相性を確認する方法があります。
短期留学では、次のような点を確認できます。
- 保護者と離れて生活できるか
- 集団生活に強い負担を感じないか
- 困ったときにスタッフへ相談できるか
- 英語環境を楽しめるか
- 食事や睡眠などの生活リズムを維持できるか
- 新しい人間関係へ入っていけるか
- 帰国後も海外で学びたいと感じるか
参加後に本人が「もう少し長く学びたい」と感じた場合は、1学期留学、1年留学、卒業留学などを検討できます。
反対に、短期留学で疲れが強く出た場合は、無理に長期留学へ進まず、別の学習環境を考えることも大切です。
短期留学は、子供を変えられるか試すためではなく、本人が海外という環境を安心して体験するために活用します。
留学を急がないほうがよいケース
次のような状況では、留学を急がず、医療・教育・福祉の専門家と相談することをおすすめします。
- 本人が留学を強く拒否している
- 心身の状態が大きく不安定である
- 睡眠や食事をほとんど取れていない
- 海外で困ったときに助けを求めることが難しい
- 保護者が「厳しい環境で根性をつけさせたい」と考えている
- 現地で必要なサポート体制が整っていない
- 不登校の原因を確認せず、環境だけを変えようとしている
- 本人が留学の目的を理解していない
- 服薬や通院を含む医療的な支援体制を確保できない
留学先へ送り出せば不登校が解決するとは限りません。
留学は、子供を家庭や日本から遠ざけるための方法ではありません。
本人が新しい環境へ挑戦したいと思ったときに、その気持ちを安全に支えるための選択肢です。
※留学を検討するときは、不登校経験や心身の状態を受け入れ先へ適切に共有し、緊急時の対応や現地サポートの範囲を事前に確認してください。
まとめ
親が甘やかしすぎると子供が不登校になると、一概に決めつけることはできません。
親の過保護や過干渉と学校拒否との関連を示す研究はありますが、因果関係は明らかになっておらず、研究の数や質も十分ではありません。
子供に愛情を注いだことや、つらい時期に休ませたことだけが、不登校の原因になるわけではありません。
不登校には、学校環境、人間関係、学習、心身の状態、発達特性、家庭環境など、さまざまな要因が関係していると言われています。
大切なのは、保護者が自分を責めることでも、急に子供へ厳しくすることでもありません。
子供のつらさを受け止めながら、本人が自分で考え、選び、失敗し、助けを求める機会を少しずつ増やすことが重要です。
私たちが海外キャンプやジュニア留学の現場で見てきた子供たちも、最初から何でも一人でできたわけではありません。
安心して失敗できる環境と、必要なときに支えてくれる大人がいることで、子供は少しずつ自分から動く傾向があります。
学校へ戻ることだけを唯一のゴールにせず、子供が自分に合った環境や学び方を見つけ、将来へ向かって主体的に歩める方法を一緒に考えていきましょう。
不登校のお子様の海外留学に興味のある方は、弊社Life Journeyの公式LINEから無料でお気軽にご相談ください。







