「不登校になるのは、どんな子なのでしょうか」
お子さまが学校へ行けなくなったとき、保護者の方は原因を探そうとします。
「もともと繊細な性格だったから?」
「甘やかして育ててしまったから?」
「人付き合いが苦手な子だから?」
「親の接し方が悪かったのでは?」
このように考え、自分やお子さまを責めてしまう方も少なくありません。
しかし、最初にお伝えしたいのは、不登校になる子に共通する一つの性格や家庭環境があるわけではないということです。
文部科学省の資料でも、不登校の原因や背景は多岐にわたり、一人ひとりの状況を丁寧に把握したうえで支援する必要があるとされています。
海外でも、学校へ通えなくなる背景には、本人の心身の状態だけでなく、家族、学校、人間関係、学習環境などが複雑に関係すると考えられています。
私たちはジュニア留学のサポートを通じて、学校へ通うことに難しさを感じていた子どもたちとも関わってきました。
その経験からも、不登校の子どもを「内向的な子」「弱い子」「集団生活ができない子」など、一つの言葉でまとめることはできないと感じています。
一見すると明るく社交的な子、成績が良い子、スポーツが得意な子、友達が多い子でも、学校へ行けなくなることがあります。
不登校は、子どもの性格だけで決まるものではありません。
この記事では、「不登校になるのはどんな子なのか」と悩んでいる保護者の方へ、不登校の子どもに見られることのある傾向や背景、保護者ができる対応についてご紹介します。
不登校になる子に決まった性格はない
不登校の子どもについて、次のようなイメージを持っている方もいるかもしれません。
- 人付き合いが苦手
- 気が弱い
- 勉強が苦手
- 朝起きられない
- ゲームばかりしている
- 我慢ができない
- 親に甘やかされている
しかし、これらの特徴があるから不登校になるとは限りません。
反対に、活発で友達が多く、勉強や部活動にも積極的に取り組んでいた子が、ある日学校へ行けなくなるケースもあります。
不登校は性格を示す言葉ではなく、さまざまな事情によって学校へ通うことが難しくなっている状態を表す言葉です。
文部科学省では、不登校を、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状態にあり、病気や経済的理由を除いて年間30日以上欠席した児童生徒として整理しています。
つまり、不登校は医学的な病名や性格診断ではありません。
「不登校になるタイプの子」がいるのではなく、子どもと現在の環境との間に、何らかの通い続けにくさが生まれていると考える方が、実態に近いでしょう。
※不登校になった理由を、子どもの性格や親の育て方だけに求めないことが大切です。
不登校の子どもに見られることがある6つの傾向
不登校になる子に共通する性格はありませんが、学校へ行きづらくなった子どもと接していると、いくつかの傾向が見られることがあります。
ただし、これからご紹介する特徴は、あくまでも一部の子どもに見られるものです。
当てはまるから不登校になるわけではなく、当てはまらないから心配がないわけでもありません。
周囲の気持ちや空気に敏感な子
周囲の表情や声のトーン、教室の雰囲気などを敏感に感じ取る子どもがいます。
先生がほかの生徒を注意しているだけでも、自分が怒られているように感じたり、友達同士のちょっとした言葉を深く受け止めたりすることがあります。
大人から見ると小さな出来事でも、本人の中では強い緊張や不安につながっていることがあります。
私たちが海外のサマーキャンプやウィンターキャンプで子どもたちと過ごしていると、周囲をよく観察する子ほど、慣れない環境では最初に疲れが出やすい傾向があります。
一方で、安心できる大人や友達が見つかると、細やかな気配りや観察力を発揮し、周囲から頼られる存在になることもあります。
「敏感であること」は、弱さではありません。
ただし、人の多い教室、常に同じ集団で行動する学校生活、大きな音、頻繁な予定変更などが重なると、本人が気付かないうちに心身の負担が蓄積する場合があります。
真面目で頑張りすぎる子
不登校という言葉から、学校生活を怠けている子を想像する方もいるかもしれません。
しかし実際には、真面目で責任感が強く、周囲の期待に応えようと頑張ってきた子が、限界を迎えて学校へ行けなくなることがあります。
例えば、次のような子どもです。
- 宿題を完璧に終わらせようとする
- テストで失敗することを強く恐れる
- 先生や親から注意されないように行動する
- 友達から嫌われないように無理をする
- 部活動を休むことに罪悪感を持つ
- できない自分を許せない
このような子どもは、周囲から「手のかからない子」と見られやすい傾向があります。
本人も苦しさを表に出さず、学校では普段どおりに振る舞うため、大人が限界に気付けないこともあります。
そして、ある朝突然起きられなくなったり、玄関で動けなくなったりすることがあります。
ただし、本当に突然始まったというよりも、それ以前から小さな疲れや不安を積み重ねていた可能性があります。
学校で問題を起こしていないことと、本人がつらくないことは同じではありません。
自分の気持ちを言葉にするのが苦手な子
学校へ行けない理由を尋ねても、「分からない」「別に」「なんとなく」としか答えない子どもがいます。
保護者としては、理由を話してくれなければ対応できないため、何度も質問したくなるでしょう。
しかし、子どもが話さないのではなく、本人にも何がつらいのか分からないことがあります。
人間関係、授業、先生との関係、教室の音、疲労、睡眠不足、将来への不安など、複数の負担が絡み合っていると、一つの原因として説明することは難しくなります。
また、子どもは「こんなことを言ったら親を困らせる」「大した理由ではないと言われるかもしれない」と考え、話せなくなることもあります。
文部科学省の調査では、不登校のきっかけや要因について、本人・保護者の認識と教師の認識に差が確認されています。
学校側から見えている様子だけでは、本人が感じている苦しさを十分に把握できない場合があると言われています。
引用元:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」
そのため、「理由を言わないから理由がない」と決めつけないことが大切です。
人間関係で無理をしやすい子
友達がいない子だけが不登校になるわけではありません。
むしろ、周囲に合わせることが得意で、友達も多いように見える子が、人間関係に強く疲れていることがあります。
学校では、毎日同じ集団の中で長時間過ごします。
友達との距離感、グループ内での役割、SNSでのやり取り、休み時間の過ごし方など、子どもは大人が想像する以上に多くのことに気を配っています。
次のような様子が見られる場合、本人は人間関係で無理をしている可能性があります。
- 誘いを断れない
- 嫌なことをされても笑って流す
- 自分の意見を言わない
- 友達と会った後に極端に疲れる
- グループから外れることを強く恐れる
- SNSの返信が遅れることに不安を感じる
CDCは、学校の大人や友人から大切にされ、支えられ、学校に居場所があると感じることを「スクール・コネクテッドネス」と説明しています。
この感覚が強い子どもほど、出席状況や学業面にも良い傾向が見られるとされています。
引用元:CDC「School Connectedness Helps Students Thrive」
逆に考えると、友達の人数が多くても、本人が「ここにいてよい」と感じられなければ、学校は安心できる場所にならない可能性があります。
友達が多いことと、安心できる人間関係があることは別です。
学校の仕組みと相性が合わない子
子ども自身に問題があるのではなく、現在の学校環境との相性が合っていない場合もあります。
学校では一般的に、決められた時間に登校し、集団で同じ授業を受け、同じ時間割に沿って行動します。
この仕組みが合う子もいれば、強い負担を感じる子もいます。
例えば、次のような環境に難しさを感じることがあります。
- 大人数の教室
- 一斉授業
- 頻繁なグループ活動
- 大きな音や明るい照明
- 制服や校則
- 細かく決められた時間割
- 順位や偏差値による比較
- 正解を早く答えることが求められる授業
- 先生によって対応が大きく異なる環境
海外留学の現場では、日本の学校で自信を失っていた子が、少人数のクラスや選択肢の多い学習環境に入ることで、少しずつ発言できるようになることがあります。
もちろん、海外に行けばすべて解決するわけではありません。言語や文化の違いが、新しい負担になることもあります。
それでも、環境が変わることで、「自分は勉強ができないのではなく、以前の学び方が合っていなかった」「人と関われないのではなく、以前の集団では緊張していた」と気付く子はいます。
このような姿を見ると、子どもの能力だけでなく、その能力を発揮できる環境かどうかを見ることの大切さを感じます。
心身の不調が表れている子
不登校の始まりには、身体的な不調が表れることがあります。
例えば、次のような症状です。
- 朝になると頭やお腹が痛くなる
- 吐き気がする
- 夜眠れない
- 朝起きられない
- 食欲がなくなる
- 学校の準備をすると動悸がする
- 休日は元気なのに登校日は体調が悪くなる
- 常に疲れている
こうした状態を、単なる仮病と決めつけないことが大切です。
心にかかる負担が、頭痛や腹痛、吐き気、睡眠の乱れなど、身体の症状として表れることがあります。
また、身体的な病気や睡眠に関する問題が背景にある可能性もあるため、必要に応じて医療機関へ相談することが重要です。
文部科学省の調査では、不登校児童生徒について学校が把握した事実として、小・中学校では「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」「生活リズムの不調」「不安・抑うつの相談」「学業不振や頻繁な宿題の未提出」などが報告されています。
これらは一人に一つだけ該当するものではなく、複数の状態が重なっていることがあります。
引用元:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
「学校へ行きたくないから朝起きない」のではなく、心身が学校へ行ける状態ではないために起きられない可能性もあります。
※強い腹痛や頭痛、食欲低下、睡眠障害などが続く場合は、無理に登校させず、医療機関や専門機関への相談を検討してください。
発達特性がある子は不登校になりやすい?
発達特性のある子どもが、学校生活に負担を感じることはあります。
例えば、次のような難しさです。
- 教室の音や光に強いストレスを感じる
- 急な予定変更に対応しにくい
- 暗黙のルールを理解しにくい
- 友達との距離感が分からない
- 忘れ物や提出物の管理が難しい
- 長時間座って授業を受けることがつらい
- 読み書きや計算の一部に強い苦手さがある
ただし、発達特性があること自体を、不登校の原因と決めつけるべきではありません。
同じ特性があっても、学校側の理解や配慮、授業方法、周囲の人間関係によって、困り方は大きく変わります。
例えば、口頭の説明だけでは理解しにくい子でも、図や文字で手順を示すことで安心して行動できる場合があります。
集団活動が苦手な子でも、一人で落ち着ける場所や少人数で学ぶ機会があれば、学校とのつながりを維持できることがあります。
大切なのは、子どもに「学校に合わせる努力」だけを求めるのではなく、学校や学び方を子どもに合わせられないかを考えることです。
不登校になる前に見られることがあるサイン
不登校は、完全に学校へ行けなくなる前から、小さな変化として表れることがあります。
これまでと違う様子が続いている場合は、本人が何らかの負担を抱えていないか確認することが大切です。
朝の準備に時間がかかる
以前は自分で準備できていた子が、着替えられない、食事が進まない、何度もトイレへ行くといった状態になることがあります。
単に動作が遅くなったのではなく、登校に対する不安によって体や思考が止まっている可能性があります。
遅刻や早退が増える
学校へまったく行けなくなる前に、朝だけ行けない、特定の授業だけ休む、保健室で過ごすといった段階が見られることがあります。
遅刻や早退は、完全に登校できなくなる前のサインとして表れる場合があります。
宿題や提出物が出せなくなる
勉強を理解できていないとは限りません。
失敗への恐れ、疲労、集中力の低下、先生に会うことへの不安などが、提出できない背景にある場合があります。
「やればできるのに、なぜやらないのか」と責める前に、取り組めないほど疲れていないかを確認してみましょう。
学校の話を避ける
「今日はどうだった?」と尋ねても話題を変える、怒る、黙り込むといった変化が見られることがあります。
学校について話したくないのではなく、学校を思い出すこと自体が負担になっている場合もあります。
帰宅後に極端に疲れている
学校では元気に見えていても、帰宅すると寝込む、家族に強く当たる、何もできなくなる場合があります。
学校で緊張を続けている子ほど、安全な家庭に戻ったときに感情があふれることがあります。
家庭で荒れているからといって、学校でも同じように振る舞っているとは限りません。
日曜の夜から体調が悪くなる
休日は比較的元気でも、日曜の夕方や登校前日から不安や身体症状が強くなることがあります。
一つひとつの変化だけで、不登校になるとは判断できません。
ただし、複数の変化が続いている場合は、「甘え」「反抗期」と片付けず、子どもが何に負担を感じているのかを確認することが大切です。
学年によって不登校の表れ方は異なる
不登校の背景や表れ方は、年齢によっても異なります。
小学生の場合
小学生は、自分の感情や状況を十分に言葉で説明できないことがあります。
そのため、腹痛や頭痛、泣く、親から離れられない、朝になると動けないといった形で表れやすい傾向があります。
低学年では、家庭から学校への環境変化、先生との関係、授業についていく難しさ、集団行動への疲れなどが影響することがあります。
高学年になると、友人関係の複雑化、学習内容の難化、思春期の始まりなども関係してきます。
小学生の場合は、言葉よりも体調や行動の変化に気持ちが表れることがあります。
中学生の場合
中学校では、教科担任制、定期テスト、部活動、先輩後輩の関係、進路への意識など、生活環境が大きく変化します。
小学校では何とか通えていた子が、中学校への進学をきっかけに負担を抱えることもあります。
文部科学省の調査では、小学生と中学生のいずれにおいても不登校児童生徒数の増加が報告されています。
引用元:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
中学生は、学習、人間関係、部活動、進路など複数の負担が同時に増えやすい時期です。
高校生の場合
高校生では、単位、進級、卒業、進学、就職など、将来に直結する問題が増えます。
「学校に行けない」という悩みに加え、「このままでは卒業できない」「将来が決まらない」という不安を抱えやすくなります。
一方で、高校段階では、通信制高校、定時制高校、単位制高校、オンライン学習、海外進学など、学び方の選択肢も広がります。
現在の学校に戻ることだけをゴールにせず、本人に合った方法で学びを続けることも重要です。
不登校は甘えや怠けではない
学校を休んでいる子どもが、家でゲームをしたり、動画を見たりしていると、「本当は元気なのでは」と感じることがあります。
学校へは行けないのに、好きなことはできる姿を見ると、保護者が戸惑うのは自然なことです。
しかし、好きな活動ができることと、学校へ通えることは別の問題です。
学校では、朝決められた時間に起き、人の多い場所へ移動し、長時間集団の中で過ごし、授業を受け、先生や友達と関わる必要があります。
ゲームや動画は、自分のタイミングで始めたり、やめたりできます。人との直接的なやり取りを避けながら、気持ちを紛らわせることもできます。
そのため、「ゲームができるなら学校にも行けるはず」とは限りません。
もちろん、昼夜逆転や長時間のゲーム利用が生活リズムに影響することはあります。
ただし、ゲームだけを不登校の原因と決めつけて取り上げると、子どもにとって唯一安心できる活動まで失わせてしまう可能性があります。
まずは、ゲームをしていることだけを見るのではなく、「ゲーム以外の時間にどのような様子でいるか」「何から逃れようとしているのか」「どの程度眠れているか」を確認することが大切です。
※ゲームやスマートフォンを突然取り上げると、親子関係が悪化し、子どもがさらに孤立する場合があります。
親の育て方が原因とは限らない
お子さまが不登校になると、保護者は自分の育て方を振り返ります。
しかし、不登校の背景は複雑であり、親の接し方だけで説明できるものではありません。
家庭環境が子どもの心身に影響する場合はありますが、それは「親が悪い」という単純な話ではありません。
保護者自身が仕事、家事、介護、経済的負担、きょうだいへの対応など、さまざまな事情を抱えていることもあります。
また、不登校になった後、親子ともに余裕を失い、関係が悪化することもあります。
つまり、親子関係が不登校を生んだのではなく、不登校への不安や焦りによって親子関係が苦しくなっている可能性もあります。
不登校の原因を一人に求めるよりも、現在の負担をどのように減らすかを考える方が、状況の改善につながりやすいでしょう。
不登校の子どもに親ができること
まずは安全に休める状態をつくる
心身の疲労が強いときは、すぐに今後の進路や登校方法を決めようとしても、子どもは考えられません。
まずは、家庭が安心して休める場所になることが大切です。
ただし、「何もしなくてよい」と完全に放置するのではなく、食事、睡眠、体調、会話の様子を見守りながら、必要な支援につなげていきます。
理由を無理に聞き出さない
「どうして行けないの?」
「何が嫌なの?」
「誰かに何かされたの?」
何度も尋ねられると、子どもは自分でも説明できないことに焦りを感じます。
次のように伝えることで、子どもが話しやすくなることがあります。
- 「今はうまく説明できなくても大丈夫」
- 「話せることがあったら聞くよ」
- 「学校へ行けないことより、今つらいことがないか知りたい」
原因を聞き出すことより、子どもが安心して話せる関係をつくることが先です。
小さな選択肢を渡す
不登校の子どもは、自分で状況を変えられない感覚を持っていることがあります。
そのため、小さなことから本人が選べるようにします。
例えば、「学校へ行くか行かないか」という大きな二択ではなく、次のように選択肢を細かくします。
- 担任と電話で話すか、メールにするか
- 午前中に起きるか、まず昼までに起きるか
- 教室に入るか、別室へ行くか
- 家で勉強するか、教育支援センターへ行くか
- 今週決めるか、来週考えるか
本人が決めた経験を積み重ねることで、少しずつ自分の生活を取り戻していくことがあります。
大人が正解を決めるのではなく、子どもが選べる範囲を少しずつ増やしていくことが大切です。
学校以外の居場所を探す
文部科学省は、不登校支援について、「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、本人が進路を主体的に捉え、社会的に自立する方向を目指すことが重要だとしています。
学校以外にも、次のような選択肢があります。
- 校内教育支援センターや別室
- 自治体の教育支援センター
- フリースクール
- オンライン学習
- 通信制・定時制高校
- 学びの多様化学校
- 習い事や地域活動
- 短期留学や海外プログラム
どの選択肢が合うかは、子どもの状態によって異なります。
外へ出ること自体が難しい時期に、無理に新しい場所へ連れていく必要はありません。
まずはオンラインで説明を聞く、親だけで見学するなど、負担の少ない方法から始めることもできます。
学校に戻ることだけが、不登校支援の唯一のゴールではありません。
環境を変えることで見える子どもの新しい一面
不登校の子どもにとって、環境を変えることが一つのきっかけになる場合があります。
ただし、環境を変えることは、不登校を解決するための特効薬ではありません。
本人の体調や気持ちを確認せず、「海外へ行けば変わる」「厳しい環境に入れば自立する」と考えることには注意が必要です。
一方で、本人が現在の環境から一度距離を置き、新しい場所に関心を持っている場合、短期留学や海外のサマーキャンプが新しい経験につながることがあります。
私たちが現地で子どもたちと過ごしてきた中では、日本の学校では発言できなかった子が、海外では自分から質問するようになったり、年齢や国籍の違う友達と自然に会話したりする姿を見てきました。
海外では、「日本の学校でどのような立場だったか」を知る人がいません。
成績、欠席日数、友人関係など、これまでの評価から一度離れて、新しい自分として人と関わることができます。
また、言葉が完璧に通じない環境では、全員が分からないことや間違えることを経験します。
日本で「失敗してはいけない」と感じていた子が、身振り手振りで伝えたり、間違いながら英語を使ったりする中で、「完璧でなくても人と関われる」と気付くことがあります。
ただし、留学を検討する際は、次の点を確認することが大切です。
- 本人が少しでも行ってみたいと思っているか
- 心身の状態が長距離移動に耐えられるか
- 少人数や日本語サポートなど必要な配慮があるか
- 現地で困ったときに相談できる大人がいるか
- 帰国後の学校や学習について準備できているか
- 途中で参加を変更・中止できるか
※本人が希望していない状態で、無理に留学や海外プログラムへ参加させることは避けましょう。
留学の目的は、無理に性格を変えることではありません。
子どもが「自分にもできることがある」「今いる場所だけが世界のすべてではない」と感じられる経験をつくることが大切です。
不登校の子どもについてよくある質問
不登校になるのは気が弱い子ですか?
気の弱さだけで不登校になるわけではありません。
社交的で活発な子、リーダーとして行動していた子でも、学校へ行けなくなることがあります。
大切なのは性格を分類することではなく、現在どのような負担が重なっているのかを見ることです。
成績が良い子でも不登校になりますか?
成績が良い子でも不登校になることがあります。
成績を維持するために無理をしていたり、失敗への恐怖が強かったりする場合もあります。
学力が高いことと、学校生活を負担なく続けられることは別です。
友達が多くても不登校になりますか?
友達が多いように見えても、本人が人間関係に疲れていることがあります。
「誰とでも仲良くできる子」と評価されている子ほど、周囲に合わせ続け、自分の気持ちを抑えている場合があります。
友達の人数ではなく、本人が安心して過ごせる関係があるかを見ることが大切です。
不登校の理由が分からないこともありますか?
本人にも明確な理由が分からないことがあります。
一つの大きな出来事ではなく、小さな疲れや不安が重なっているケースもあります。
無理に原因を一つに絞らず、睡眠、体調、学習、人間関係、学校環境などを少しずつ確認していきましょう。
学校へ戻すことを最優先にするべきですか?
文部科学省は、登校だけを支援の目標にするのではなく、本人の社会的自立を目指すことが重要だとしています。
また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す機会になる場合がある一方、学習や進路への影響にも注意が必要だとしています。
学校復帰が本人に合う場合もあれば、別室、転校、通信制、オンライン学習など、別の方法が合う場合もあります。
「以前と同じ学校生活に戻すこと」ではなく、本人が安心して学びや社会とのつながりを持てる方法を探すことが重要です。
まとめ|「どんな子か」より「何がつらいか」を見る
不登校になるのはどんな子なのかと考えたとき、特定の性格や家庭環境だけで説明することはできません。
不登校になる子どもには、次のような傾向が見られることがあります。
- 周囲の空気に敏感
- 真面目で頑張りすぎる
- 自分の気持ちを言葉にしにくい
- 人間関係で無理をしやすい
- 学校の仕組みとの相性が合わない
- 心身の不調を抱えている
しかし、これらは不登校の子だけに見られる特徴ではありません。
重要なのは、「この子は不登校になりやすい性格だ」と判断することではなく、「この子は今、どのような環境で、何に負担を感じているのか」を知ろうとすることです。
学校へ行けなくなったことだけに注目すると、子どもが持っている好奇心、優しさ、集中力、創造性などが見えにくくなります。
私たちが留学先で関わってきた子どもたちの中にも、環境が変わったことで、それまで見えなかった力を発揮した子がいます。
現在の学校でうまくいっていないことは、その子がどこでもうまくいかないことを意味しません。
学校に戻ること、別の場所で学ぶこと、一度休むこと、新しい環境に挑戦すること。
どの道を選ぶとしても、子どもが自分の人生を「自分で選べる」と感じられることが、次の一歩につながっていきます。
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