「小学校から不登校になったら、将来はどうなるのだろう」
「このまま中学校にも行けなかったら、高校や大学には進学できないのではないか」
「仕事に就けず、ずっと家にいることになったらどうしよう」
お子さまが小学生の段階から学校に行けなくなると、保護者さまが10年、20年先の将来まで心配してしまうのは自然なことです。
結論からお伝えすると、小学校から不登校になったからといって、その子の将来が決まってしまうわけではありません。
実際に、不登校を経験しながら高校や大学へ進学する子どももいれば、通信制高校や専門学校、海外留学などを経て、自分に合った仕事を見つける子どももいます。
ただし、「学校へ行かなくても何もしなくてよい」という意味ではありません。大切なのは、学校への復帰だけにこだわるのではなく、家庭や学校外でも学び、人とのつながり、生活リズムをできる範囲で維持していくことです。
不登校になった時期だけではなく、不登校の期間をどのように過ごし、どのような支援につながれたかによって、その後の選択肢は大きく変わります。
この記事では、小学校から不登校になった場合に考えられる将来への影響と、保護者さまが今からできること、将来の選択肢の一つとなる留学についてお伝えします。
小学校から不登校になる子どもは珍しくない
文部科学省の令和6年度調査によると、小学校の不登校児童数は13万7,704人でした。前年度の13万370人から5.6%増加しており、過去最多となっています。
小学校だけでなく中学校も合わせると、不登校児童生徒数は35万3,970人に上ります。小学校の不登校は、現在ではごく一部の家庭だけに起きる特別な問題とは言いにくくなっています。
参考:令和6年度|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
同調査では、不登校児童生徒について学校が把握した事実として、次のようなものが多かったと言われています。
- 学校生活に対してやる気が出ない
- 生活リズムが乱れている
- 不安や抑うつに関する相談がある
- 学業不振や宿題の未提出が増えている
不登校の背景は一つではありません。友人関係、先生との関係、授業の難しさ、集団生活への疲れ、生活リズム、感覚過敏、発達特性、家庭環境の変化など、複数の要因が重なっているケースも多いと言われています。
不登校を「本人の性格」や「家庭の問題」だけで説明することはできません。
参考:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について
そのため、「甘えているから」「根性がないから」「親の育て方が悪かったから」と単純に決めつけることは避ける必要があります。
私たちが留学サポートや海外プログラムを通して子どもたちを見ていても、一見すると元気で社交的に見える子が、学校という環境の中では強い緊張や息苦しさを感じていることがあります。
反対に、日本の学校ではほとんど話さなかった子が、海外の少人数プログラムでは自分から発言し、年齢や国籍の違う子どもたちと自然に交流することもあります。
子どもの力が失われたのではなく、現在の環境では持っている力を出しにくくなっているというケースも少なくありません。
小学校から不登校だと将来はどうなる?
小学校から不登校になった場合、将来への影響として特に心配されやすいのが、学力、高校進学、大学進学、就職、人間関係です。
ただし、これらは「不登校になった子どもに必ず起きる結果」ではありません。
不登校の期間、背景、受けている支援、家庭での過ごし方、本人に合った進路を選べるかによって、その後は大きく変わります。
学習の遅れが進路選択に影響する可能性がある
小学校では、国語や算数を中心に、その後の学習の土台となる内容を学びます。
特に、文章を読んで意味を理解する力、四則計算、割合、分数、小数などでつまずくと、中学校の学習にも影響しやすくなります。
不登校の期間が長くなったときに注意したいのは、単純に授業時間が減ることだけではありません。
「みんなより遅れている」
「今さら教室に戻っても分からない」
「質問したら笑われるかもしれない」
このような気持ちが強くなり、学習の遅れそのものが、学校や学習の場へ戻る心理的な壁になることがあります。
そのため、学校へ行けない時期にも、教科書をすべて終わらせることを目標にする必要はありませんが、読み書きや計算などの基礎学習との接点は残しておくことが大切です。
1日10分からでも構いません。オンライン教材、家庭教師、教育支援センター、フリースクールなど、学校以外の方法も利用できます。
学年の内容を完璧に進めることよりも、「自分はまだ学べる」という感覚を失わせないことが重要です。
中学校でも不登校が続く可能性がある
小学校から不登校になった子どもの全員が、中学校でも不登校になるわけではありません。
クラス替え、担任の変更、進学、転校など、環境の変化をきっかけに通えるようになる子どももいます。
一方で、小学校時代に感じていた困難が解決されないまま中学校へ進学すると、不登校が続く可能性があります。
とある研究では、小学校または中学校で年間30日以上欠席した経験がある若者のうち、「小学校・中学校ともに不登校だった」と回答した人は、不登校経験者の25.3%でした。
※この研究は東京都内の3自治体に住む若者を対象としたものであり、日本全国の小学生全員にそのまま当てはめられる数字ではありません。
重要なのは、小学校卒業を「一度すべてをリセットする日」と考えすぎないことです。
中学校へ進学する前に、本人が苦手としている環境、安心できる人、参加できる時間帯、学習状況などを中学校側へ共有しておく必要があります。
たとえば、教室への登校が難しい場合でも、別室登校、保健室登校、短時間登校、オンラインでの接続など、本人が参加できる方法を事前に相談しておくことが考えられます。
高校進学への道は残されている
「小学校から不登校なら、高校には行けない」と考える保護者さまもいますが、高校進学の道が完全に閉ざされるわけではありません。
先ほど例に挙げた研究では、小学校または中学校で長期欠席を経験した若者の高校進学率は91.5%でした。
調査地域や対象人数に限界はあるものの、不登校経験者の9割以上が高校へ進学していたことになります。
ただし、進学先の内訳には違いが見られました。
不登校経験のない若者では全日制高校への進学が97.2%だったのに対し、不登校経験者では57.2%でした。不登校経験者の27.7%が定時制高校、15.1%が通信制高校へ進学していました。
これは、必ずしも「全日制に行けなかった」と否定的に捉える必要はありません。
毎日決まった時間に登校することが難しい子どもにとって、通信制高校や定時制高校は学びを継続するための重要な選択肢です。
現在は、次のように高校の選択肢が広がっています。
- 全日制高校
- 定時制高校
- 通信制高校
- 学びの多様化学校
- 高等専修学校
- サポート校
- 海外の高校
- 日本の高校に在籍しながら参加する短期・長期留学
「一般的な高校へ進学できるか」だけではなく、本人が無理なく継続して学べる環境かという視点で進路を考えることが重要です。
進学後にも継続的な支援が必要
高校へ合格したことで、不登校に関する問題がすべて解決するとは限りません。
先ほどの研究では、小中学校で不登校経験のなかった人のうち、高校でも不登校になった割合は2.0%でした。一方、小中学校で不登校を経験した人では34.7%でした。
また、高校中退を経験した割合は、不登校経験のない人が3.6%、経験のある人が17.1%でした。
※この結果から「不登校経験がある子どもは高校を中退する」と断定することはできません。
同研究では、高校中退には小中学校時代の不登校そのものよりも、高校で再び不登校になったこと、高校生活を楽しいと感じられないこと、学業上の困難などが強く関係している可能性が示されています。
つまり、高校へ進学させることだけをゴールにするのではなく、入学後も相談できる人や安心できる居場所を確保する必要があります。
学校選びでは、入学のしやすさだけでなく、欠席時のサポート、カウンセラーの有無、オンライン授業、少人数指導、単位取得方法なども確認しましょう。
大学や専門学校への進学も可能
不登校経験があっても、大学、短期大学、専門学校などへ進学することは可能です。
文部科学省が過去に実施した、中学3年時に不登校だった人を20歳まで追跡した調査では、20歳時点で大学・短期大学・高等専門学校に在籍していた人が22.8%、専門学校や各種学校等に在籍していた人が14.9%でした。
また、以前に行われた同様の調査と比べ、高校進学率は65.3%から85.1%へ上昇し、高校中退率は37.9%から14.0%へ低下していました。
参考:「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版):文部科学省
※この調査は現在の小学生を追跡したものではなく、対象となった年代も古いため、現在の子どもの将来を正確に予測する数字ではありません。
しかし、教育の選択肢や支援環境が増えることによって、不登校経験者の進路が広がる可能性を示す資料にはなります。
高校卒業程度認定試験を受けて大学進学を目指す方法もあります。海外の高校を卒業し、日本や海外の大学へ進学する道もあります。
小学校時代に学校へ行けなかったことだけで、大学や専門学校への進学が不可能になるわけではありません。
就職できないと決まるわけではない
不登校経験があることだけを理由に、将来就職できないと決まるわけではありません。
ただし、学習機会、人との接点、生活リズムを長期間失うと、進学や就職の準備が難しくなる可能性はあります。
文部科学省の追跡調査では、20歳時点で就業のみの人が34.5%、就学のみの人が27.8%、就学しながら働いている人が19.6%でした。一方で、就学も就業もしていない人は18.1%でした。
参考:「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版):文部科学省
※こちらも中学3年生時点で不登校だった人を対象とする過去の調査であり、小学校から不登校だった子どもの将来を直接示すものではありません。
それでも、進学や就職に進む人が多数いる一方で、社会との接点を失う人も一定数いるため、学校に通えるかどうかだけでなく、少しずつ社会参加の経験を作ることが重要だと言えます。
ボランティア、習い事、オンラインコミュニティ、アルバイト、地域活動、短期留学なども、人との関わりを回復するきっかけになります。
不登校の将来を左右するのは「休んだ期間」だけではない
保護者さまは「何日休んだか」「何年学校へ行っていないか」に注目しがちです。
しかし、将来を考える上では、休んだ期間中にどのように過ごしていたかも重要です。
たとえば、学校へは行けていなくても、次のような状態が保たれていれば、将来の選択肢につながりやすくなります。
- 家族以外にも信頼できる大人がいる
- 好きなことや興味のあることがある
- 週に数回でも学習に取り組んでいる
- 昼夜逆転が極端になっていない
- 家の外へ出る機会がある
- オンラインを含めて同年代との交流がある
- 自分の意見を伝えられる
- 将来について少しずつ考えられる
反対に、毎日学校へ行っていても、強い不安を抱え、自分には価値がないと思い続けている状態では、長期的な安心にはつながりません。
文部科学省も、不登校支援は「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、本人が進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があるとしています。
登校日数だけでなく、本人の安心、学習、人との接点、自己肯定感を含めて回復を考えることが大切です。
参考:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知):文部科学省
小学校から不登校になった子どもに親ができること
まずは安心して休める状態を作る
学校へ行けなくなった直後は、子どもの心身が強く疲れている可能性があります。
この段階で毎朝登校を迫ったり、将来の話を繰り返したりすると、家庭も安心できない場所になることがあります。
「今日はどうするの?」
「いつから行くの?」
「勉強が遅れるよ」
「このままでは将来困るよ」
保護者さまに悪意はなくても、子どもには追い詰められているように聞こえることがあります。
まずは食事、睡眠、入浴など、日常生活を落ち着かせることを優先しましょう。
ただし、強い抑うつ、自傷行為、死にたいという発言、極端な食欲低下、長期間眠れない状態などがある場合は、学校や家庭だけで抱え込まないでください。
小児科、児童精神科、自治体の相談窓口など、専門機関へ早めに相談する必要があります。
「学校へ行けない理由」を一つに決めない
子ども本人も、なぜ学校へ行けないのか分かっていないことがあります。
「友達が嫌だから」
「朝起きられないから」
「勉強が分からないから」
最初は一つの理由を話していても、実際には複数の困りごとが重なっていることがあります。
海外の学校拒否に関する系統的レビューでも、不安症状、学習上のニーズ、家庭・学校環境、対人関係など、個人と周囲の要因を合わせて考える必要があるとされています。
参考:A systematic review of school refusal | Current Psychology | Springer Nature Link
問い詰めるのではなく、次のように具体的な場面を分けて聞いてみてください。
- 「朝起きるのがつらいのかな」
- 「教室に入るところが一番つらい?」
- 「授業と休み時間なら、どちらが苦しい?」
- 「先生、友達、勉強の中では何が一番気になる?」
答えたくないときは、無理に話させる必要はありません。
子どもが話したときに否定せず聞ける状態を作ることが先です。
学習を完全に止めない
不登校の子どもに、学年相当の勉強をすべてさせる必要はありません。
しかし、学習から完全に離れる期間が長くなると、本人が再び学びたいと思ったときの負担が大きくなります。
最初は、次のような内容でも構いません。
- 好きな本を読む
- 漢字を数個書く
- 小学校低学年の計算まで戻る
- 興味のあるテーマを動画で学ぶ
- 英語のゲームやアプリを使う
- 料理を通して分量や割合を学ぶ
- 行きたい国について調べる
大切なのは、学年や点数よりも「自分はまだ学べる」という感覚を失わせないことです。
文部科学省の令和6年度調査では、自宅や学校外での学習成果を指導要録に反映された不登校児童生徒が8万1,467人いました。
また、自宅でICTを使った学習を出席扱いとされた児童生徒も1万3,261人いました。
一定の要件はありますが、学校外の学びが評価される仕組みは少しずつ整えられています。
参考:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
学校以外の居場所を確保する
教室へ戻ることが難しくても、人との接点まで失う必要はありません。
地域によって利用できる施設は異なりますが、次のような選択肢があります。
- 校内教育支援センターや別室
- 自治体の教育支援センター
- フリースクール
- オンラインスクール
- 放課後等デイサービス
- 習い事
- 地域の居場所支援
- 少人数の体験プログラム
- 国内外の短期キャンプ
文部科学省のCOCOLOプランでも、校内教育支援センター、学びの多様化学校、教育支援センター、オンライン支援など、複数の学びの場を確保する方針が示されています。
「学校に行くか、家にいるか」の二択にしないことが重要です。
参考:不登校対策(COCOLOプラン等)について:文部科学省
小さな成功体験を増やす
不登校が続いた子どもは、「自分は普通のことができない」「どうせ失敗する」と考えやすくなることがあります。
その状態で、いきなり週5日の登校や大人数での活動を目標にすると、失敗経験が増えてしまいます。
最初は、次のような小さな目標で十分です。
- 朝決めた時間に起きる
- 家の周りを10分歩く
- オンライン授業を15分見る
- 先生にメールを送る
- 放課後に学校へ行く
- 別室で1時間過ごす
- 少人数のイベントに参加する
- 1泊2日のキャンプに参加する
子どもたちは、自分の力で一つできた経験を重ねると、次の行動に挑戦しやすくなる傾向があります。
特に海外プログラムでは、英語が完璧に話せたことよりも、「自分から注文できた」「外国の友達に話しかけられた」「親と離れて数日過ごせた」という経験が、大きな自信になることがあります。
周囲から見れば小さな一歩でも、本人にとっては大きな成功体験になっていることがあります。
不登校の支援は「すぐ学校へ戻すこと」だけではない
海外では、不安や恐怖などの心理的負担によって学校へ行けない状態を「school refusal」と言い、研究が行われております。
その研究の一つでは、出席させることを目的とした認知行動療法を中心とした支援により、子供の出席状況が改善する可能性が示されていましたが、不安症状への効果は「効果がある」と言い切れるデータは取れなかったとされています。
つまり、「学校へ行けるようになったから、不安や苦しさもすべて消えた」とは限りません。
登校への支援と心のケアを並行して行う必要があります。
学校へ戻れたかどうかだけで支援の成否を判断すると、子どもが抱えている本当の苦しさを見落とす可能性があります。
次のような変化も、回復の大切なサインです。
- 表情が明るくなった
- 会話が増えた
- 外出できるようになった
- 好きなことに集中できるようになった
- 将来の話を避けなくなった
- 家族以外の人と話せるようになった
- 失敗しても立て直せるようになった
出席日数だけでは見えない変化にも目を向けることが、長期的な回復につながります。
小学校から不登校の子どもに留学は向いている?
留学は、不登校を治すための治療ではありません。
また、日本の学校へ行けない子どもを無理に海外へ送り出せば解決するわけでもありません。
それでも、本人が海外に興味を持っており、心身の状態が落ち着いている場合には、留学や海外体験が環境を見直すきっかけになることがあります。
留学を「学校復帰の代わり」にするのではなく、新しい環境で本人の可能性を試す一つの選択肢として考えることが大切です。
日本での評価から一度離れられる
日本の学校で不登校が続くと、子ども自身が「自分は学校へ行けない子」というイメージを持つことがあります。
海外では、現地の先生や子どもたちは、その子が日本で不登校だったことを知りません。
最初から一人の参加者として接してもらえるため、過去の評価から離れて新しい人間関係を築きやすくなることがあります。
私たちが関わってきた子どもの中にも、日本では自信を失っていたものの、海外では「日本から来たこと」「日本語を話せること」が個性として受け入れられ、少しずつ自分から話せるようになる子がいます。
環境が変わることで、「学校へ行けなかった自分」ではなく、「海外で新しいことに挑戦している自分」として再スタートできることがあります。
得意なことが評価される場合がある
日本の学校では、授業中に静かに座ること、同じペースで課題を進めること、周囲に合わせることが求められる場面があります。
海外の学校やキャンプでは、発言、スポーツ、音楽、アート、行動力、ユーモアなど、異なる部分が評価される場合があります。
日本の教室では目立たなかった子が、海外では現地の子どもに折り紙を教えたり、アニメやゲームの知識をきっかけに友達を作ったりすることもあります。
「自分にも誰かに教えられることがある」「自分の好きなことが友達作りにつながる」という発見は、自己肯定感を取り戻すきっかけになります。
最初は短期プログラムから検討する
不登校の子どもにとって、いきなり半年や1年間の留学をすることは大きな負担になる可能性があります。
まずは、次のような段階を踏む方法があります。
- オンライン英会話を試す
- 国内の英語キャンプへ参加する
- 親子留学を体験する
- 1〜2週間のサマーキャンプへ参加する
- 3か月程度の短期留学を検討する
- 本人の希望に応じて長期留学を考える
宿泊を伴うプログラムが難しい場合は、保護者さまと一緒に渡航し、日中だけ現地プログラムに参加する方法もあります。
不登校を解決するために留学させるのではなく、本人が次の一歩を試す場所として留学を利用することが大切です。
留学を急がない方がよいケース
次のような状態では、留学よりも休養や医療・心理的な支援を優先した方がよい場合があります。
- 本人が留学を強く拒否している
- 自傷行為や希死念慮がある
- 家族と離れることに強い恐怖がある
- 食事や睡眠が大きく乱れている
- 日常生活を一人で送ることが難しい
- 「海外へ行けば必ず治る」と家族が期待している
- 日本の学校や家庭から逃がすことだけが目的になっている
本人の意思を確認せず、環境を強制的に変えることは、新たな不安や失敗体験につながる可能性があります。
留学は本人の意思、心身の状態、英語力、生活力、現地の支援体制を確認してから検討する必要があります。
本人が「行ってみたい」と感じられること、困ったときに相談できる大人が現地にいることが重要です。
小学校から不登校でも将来を悲観しすぎる必要はない
小学校から不登校になると、何年も先の進学や就職まで不安になるかもしれません。
確かに、不登校が長期化すると、学習の遅れや進路選択上の困難が生じる可能性はあると言われています。
一方で、不登校経験者の多くが高校へ進学している調査もあり、通信制高校、定時制高校、学びの多様化学校、専門学校、大学、海外留学など、進路は一つではありません。
小学校から不登校になったことは、その子の将来がなくなったことを意味しません。
大切なのは、今すぐ一般的な学校生活へ戻すことだけを目標にしないことです。
子どもの将来につながるのは、次のような経験です。
- 安心して休めた経験
- 自分の気持ちを受け止めてもらえた経験
- 学校以外でも学べた経験
- 信頼できる大人に出会えた経験
- 小さな挑戦に成功した経験
- 自分で進路を選んだ経験
- 日本以外の価値観を知った経験
不登校は、その子の人生全体ではなく、長い人生の中の一つの時期です。
私たちが海外で子どもたちと過ごしていて感じるのは、環境が変わることで、表情や話し方、他者との関わり方が大きく変わる子どもがいるということです。
日本の学校では「自分には何もできない」と感じていた子どもが、海外で誰かに話しかけたり、自分の意見を伝えたり、家族と離れて生活したりすることで、自信を取り戻すことがあります。
学校へ行けていない今の姿だけを見て、将来の可能性まで決める必要はありません。
焦って答えを出すのではなく、本人に合う学び方、居場所、人とのつながりを一つずつ増やしていくことが、その子らしい将来につながっていきます。
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