カナダ永住権申請制度「Express Entry」とは?
Express Entryとは、一定の条件を満たした熟練労働者(スキルド・ワーカー)に永住権申請の権利を与え、その権利を用いた申請を6か月程度の短期間で審査するという永住権申請制度です。
- スキル
- 学歴(日本、カナダ、その他の国含む)
- 語学力(英語orフランス語)
- 職歴(日本、カナダ、その他の国含む)
- その他(年齢など)
上記5つの項目からスコアを算出し、総合スコアが高い人から永住権を申請できるというものです。
つまり、これらの総合スコアをできるだけ上げることが永住権を申請する近道になります!
「Express Entry」はさらに以下3種類のカテゴリーに分けられます。
①Canadian Experience Class(カナディアン・エクスペリエンス・クラス)
②Federal Skilled Worker(フェデラル・スキルド・ワーカー)
③Federal Skilled Trades Program(フェデラル・スキルド・トレード・プログラム)
中でも最も一般的なのが①のCEC(Canadian Experience Class)と呼ばれる移民カテゴリーです。
CEC(Canadian Experience Class)とは?
CECは永住権取得方法の『Express Entry』の一つに分類されています。
『Ecpress Entry』とは、以下の3つになります。
①Canadian Experience Class(カナディアン・エクスペリエンス・クラス)
②Federal Skilled Worker(フェデラル・スキルド・ワーカー)→詳しくはこちらの記事
③Federal Skilled Trades Program(フェデラル・スキルド・トレード・プログラム)
最も一般的といわれるのが、今回紹介する①のCEC(Canadian Experience Class)と呼ばれる移民カテゴリーです。
永住権申請のは簡単に言うと、「カナダでの職務経験があり、永住権を希望する熟練労働者のための申請カテゴリーのひとつ」です。
申請時時点の学歴や、2年以上のカナダでの学校教育を受けていること、1年以上のカナダでの職歴があること、そして英語のテストのスコアというシンプルな条件で、永住権獲得のチャンスが得られるというものです。
つまりCECは、最短3年で永住権が取れるという、永住権を求める人達にとって非常に心強い制度なのです!
<CEC紹介動画>
CECの申請の流れ
- *申請の条件を満たしている申請者は、Express Entryにプロフィール登録をする
- 申請者のプロフィールがスコア(1200点満点)になり、その点数の高い人から順番に移民局から ITA(Invitation to Apply)(招待状)が発給される
- ITAが発給された申請者は、60日以内にオンラインで申請を完了させる
- 移民局での審査が完了すると申請者あてに CoPR(Confirmation of Permanent Resident)というレターが届く
- CoPRを持ってランディングをする
申請条件について
CECの申請者は、以下の申請条件を満たしている必要があります。
【カナダでの学歴:公立大学やカレッジで2年以上の学位】
申請時までにカナダの公立大学やカレッジで*2年以上の学位を取得している必要があります。
*2年以上の学位:Diploma(2年)、Advanced Diploma(3年)、Degree(4年)
<注意点>
・ 2年以上のプログラムを修了している必要があり、Certificate(サーティフィケート)は基本的にカウントされません。(Coop、私立学校、語学学校は対象外。)
・公立の学校でも、対象外となるプログラムが存在することがあるので、事前にチェックしておくことをお勧めします。
*カナダ公式IRCCのサイトより、カナダDLI(公認学校)リストをチェックすることができます。
【カナダでの就労条件:1年間以上のフルタイム就労】
申請時から3年以内に、カナダ国内においてスキルドワークに該当する職種 (National Occupational Classification – NOC 0/A/B)でフルタイム(週30時間以上)で1年間、またはそれに相当するパートタイムの職歴があること。
<注意点>
・NOC記載の具体的な職務(後述参照)を実際に行っていた必要があります。
・自営業での経験はカウントされません。
・フルタイムで就学中の就労経験(co-op等)はカウントされません。
【仕事の専門性レベル:NOCレベルB以上】
NOC Type 0 – 管理職、マネジメント職
NOC level A – プロフェッショナル職 (通常大学卒以上の学歴が求められる職種)
NOC level B – テクニカル&スキルトレード職(通常カレッジのディプロマや職業訓練が求められる技術職)
*カナダ公式IRCCのサイトより、自分の仕事の専門性レベル(NOCレベル)をチェックすることができます。
【英語力:NOCレベルBがCLB5以上、NOCレベル0、AがCLB7以上】
英語、またはフランス語の能力(英語 – Canadian Language Benchmark (CLB)、フランス語 – Niveaux de Compétence Linguistique Canadien (NCLC))
NOCレベル 0 および A:レベル7以上
NOCレベル Bレベル: レベル5以上
*カナダ公式IRCCのサイトより、自分の英語力(CLB)をチェックすることができます。
【居住地がケベック州以外であること】
ケベック州に居住予定の申請者はこのプログラムには応募できません。
これらはあくまで最低申請条件なので、これをクリアしたら永住権が取得できるというものではありません。
申請条件を満たした後は、先述した通り、スキル・学歴・職歴・語学力・その他の総合スコアの高い人から、政府からの招待状が発行されるため、これらの総合スコアを高める必要があります。
ポイントの稼ぎどころは、学歴、職歴、英語力です。
それぞれのポイントについて
Express Entryでは、1200点満点の ポイントシステムで一定以上の点数を稼がなければなりません。
ポイントは、年齢、学歴、職歴などのプロフィールを数値化したもので、 それらのポイントを合算したものが総合スコアとなります。
項目ごとにその配点を見てみましょう!
●年齢(最大110点、配偶者有の場合最大100点)
申請時の年齢によってポイントが加算されます。
22歳~29歳が満点の110点(配偶者有の場合100点)で、年齢が上がるごとにポイントが徐々に減り、45歳以上になると0点になります。
年齢 | 配偶者あり | 配偶者なし |
17歳以下 | 0 | 0 |
18 | 90 | 99 |
19 | 95 | 105 |
20~29歳 | 100 | 110 |
30 | 95 | 105 |
31 | 90 | 99 |
32 | 85 | 94 |
33 | 80 | 88 |
34 | 75 | 83 |
35 | 70 | 77 |
36 | 65 | 72 |
37 | 60 | 66 |
38 | 55 | 61 |
39 | 50 | 55 |
40 | 45 | 50 |
41 | 35 | 39 |
42 | 25 | 28 |
43 | 15 | 17 |
44 | 5 | 6 |
45 | 0 | 0 |
仕事や子育てで、カナダに経済的、社会的に貢献してくれる可能性の高い年齢層に高いポイントが与えられています。
●学歴(最大150点、配偶者有の場合最大140点)
カナダ国内、海外を問わず、申請者の最高学歴がポイントの対象になります。
カナダでの学歴は内容によって点数が変わります。先述した通り最低でもDiploma(2年以上)が必要で、Degree(学士課程修了)やMaster(修士課程修了)などの過程を卒業した場合、点数は高くなります。
博士課程修了だと最高の150点(配偶者有の場合140点)で、高校卒業の場合は30点(配偶者有の場合28点)がもらえます。
学歴 | 配偶者あり | 配偶者なし |
中等教育以下(高校) | 0 | 0 |
中等教育修了(高校卒業) | 28 | 30 |
大学、短大、専門学校、その他の機関の1年制の学位 | 84 | 90 |
大学、短大、専門学校、その他の機関の2年制の学位 | 91 | 98 |
大学、短大、専門学校、その他の教育機関3年以上の学位 | 112 | 120 |
2つ以上のサーティフィケート、ディプロマ、または大学等の学位(1つは最低3年以上の課程であること) | 119 | 128 |
修士課程修了または*専門職学位 | 126 | 135 |
博士課程修了 | 140 | 150 |
*「専門職学位」については、医学、獣医学、歯学、検眼、法律、カイロプラクティック医学、薬学の分野における学位プログラムでなければならない。
●英語力(最大136点、配偶者有の場合最大128点)
英語力は公式テストのスコアをCLB(Canadian Language Benchmark)という基準に換算します。
「読む、書く、話す、聞く」の各能力ごとに最大点数が加算されます。(配偶者ありの場合最大32点、配偶者なしの場合最大34点)
英語力(またはフランス語力)はポイントの稼ぎどころです!
CLBレベル | 配偶者あり | 配偶者なし |
CLB 4 未満 | 0 | 0 |
CLB 4 以上 5 未満 | 6 | 6 |
CLB 6 | 8 | 9 |
CLB 7 | 16 | 17 |
CLB 8 | 22 | 23 |
CLB 9 | 29 | 31 |
CLB 10 以上 | 32 | 34 |
カナダ永住権申請に認められているのは、カナダ政府が指定するテストであるIELTSまたはCELPIPのどちらかです。各テストの詳細は以下のURLを参照してください。
IELTS公式サイト:http://www.ielts.org/
CELPIP公式サイト:hhttps://www.celpip.ca/
●カナダでの就労経験(最大80点、配偶者有の場合最大70点)
就労ビザを取得して、カナダでフルタイムで働いた期間に応じてポイントがもらえます。
CECの申請条件がカナダでの就労1年以上なので、1年は働いている必要がありますが、最大5年まで、その就労年数に応じてポイントが加算されます。
就労期間 | 配偶者あり | 配偶者なし |
1年未満 | 0 | 0 |
1年 | 35 | 40 |
2年 | 46 | 53 |
3年 | 56 | 64 |
4年 | 63 | 72 |
5年以上 | 70 | 80 |
●配偶者のポイント(最大40点)
配偶者の学歴(最大10点)、英語またはフランス語力(最大20点)、カナダでの就労経験(最大10点)に応じてポイントが加算されます。
配偶者の学歴 | 配偶者あり | 配偶者なし |
中等教育以下(高校) | 0 | – |
中等教育修了(高校卒業) | 2 | – |
大学、短大、専門学校、その他の機関の1年制の学位 | 6 | – |
大学、短大、専門学校、またはその他の機関の2年制の学位 | 7 | – |
大学、短大、専門学校、その他の教育機関3年以上の学位 | 8 | – |
2つ以上のサーティフィケート、ディプロマ、または大学等の学位(1つは最低3年以上の課程であること) | 9 | – |
修士課程修了または*専門職学位 | 10 | – |
博士課程修了 | 10 | – |
配偶者のCLBレベル | 配偶者あり | 配偶者なし |
CLB 4 以下 | 0 | – |
CLB 5 または 6 | 1 | – |
CLB 7 または 8 | 3 | – |
CLB 9 以上 | 5 | – |
配偶者の就労期間 | 配偶者あり | 配偶者なし |
1年未満 | 0 | – |
1年 | 5 | – |
2年 | 7 | – |
3年 | 8 | – |
4年 | 9 | – |
5年以上 | 10 | – |
●海外での就労経験(最大50点)
CLB 7以上で、日本など海外での就労経験があると、その就労年数と英語力に応じてポイントが加算されます。
就労年数 | CLB 7 以上 9 未満 | CLB 9以上 |
1~2年 | 13 | 25 |
3年以上 | 25 | 50 |
●カナダと海外両方の就労経験(最大50点)
カナダと海外の両方での就労経験があると、その就労年数に応じてポイントが加算されます。
就労年数 | ポイント |
1~2年海外就労+1年カナダ就労 | 13 |
3年以上海外就労+1年以上カナダ就労 | 25 |
1~2年海外就労+2年カナダ就労 | 25 |
3年以上海外就労+2年以上カナダ就労 | 50 |
●カナダの資格(最大50点)
CLB 5以上で、カナダの資格(調理師など)を持っていると、英語力に応じて最大で50点が加算されます。
カナダの資格+CLB 5以上 | ポイント |
カナダの資格+CLB 5~6 | 25 |
カナダの資格+CLB 7以上 | 50 |
●その他(最大600点)
最後にその他ですが、最大600点が割り振られていて、1200点満点の半分をその他が占めます。
州からの推薦の他、カナダでの学歴、雇用契約(ジョブオファー)などに応じてポイントが加算されます。
加算項目 | ポイント |
カナダ人またはカナダ永住者の兄弟姉妹がいる | 15 |
フランス語力がNCLC 7以上で英語力がCLB 4以下 | 25 |
フランス語力がNCLC 7以上で英語力がCLB 5以上 | 50 |
カナダでの大学等の学位(1年から2年の課程) | 15 |
カナダでの大学等の学位(3年以上の課程) | 30 |
雇用契約(NOCレベル00) | 200 |
雇用契約(NOCレベル0、A、B) | 50 |
州からのPNP推薦 | 600 |
エクスプレスエントリーは定期的に更新され、毎回の更新で総合スコアが高い申請者から順に招待状が送られます。
まとめ
CECは、過去の経験ではなく、現在から将来にかけてのカナダでの就労経験がカナダ永住権につながる、非常に心強い制度です!
*ビザ申請、永住権申請の手続きや規定、ルールはカナダ移民局が予告なく頻繁に変更しています。そのため、こちらのサイトに記載していある情報を元に何らかの判断を行う際には、弊社にご相談いただくか、カナダ移民局のウェブサイト等をきちんとご確認ください。
移民、永住権についてのご相談・お問合せは、下記の弊社公式 LINE アカウント、もしくは弊社公式サイトにて承っておりますので、お気軽にお問合せください。