コロナ社会と留学のこれからのあり方を考察する

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新型コロナウイルスの影響で、海外留学が軒並み中止となってから約1年半が経とうとしています。多くの志あふれる学生が留学を断念せざるを得ない状況となり、留学業界に衝撃をもたらしました。

本記事では、新型コロナウイルスによって社会はどう変わったのか、ウィズコロナ・ポストコロナ社会における留学のあり方について考察していきます。

 

コロナによる社会の変化

VUCA(ブーカ)時代と言われる現代の日本。VUCAとは、テクノロジーの進化により先行きが不透明で将来の予測が困難な時代のことを指します。

  • V(Volatility:変動性)
  • U(Uncertainty:不確実性)
  • C(Complexity:複雑性)
  • A(Ambiguity:曖昧性)

コロナ流行以前は、「社会全体の仕組みが変わる」というレベルの大きな変化は、数年かけて徐々に移行し普及していくというものでした。それがコロナの流行により、世界は急激な変化を余儀なくされました。今まで当たり前だと思っていた物事が突然崩れ、常識が非常識になり、新たな社会に適応するためのさまざまな対策の考案に社会全体が試行錯誤を繰り返しました。

そして今や私たちはコロナと共に生きねばならない社会にいます。社会情報大学院大学の北見教授によると、ウィズコロナ社会における環境変化として、以下が考えられるとのことです。

 

①集中・閉密・効率から、分散・質の時代へ

従来、学校や会社に行き、密閉された部屋に集い、授業や会議を行い、効率性を高めていったものが、ウィズコロナ時代では分散が求められます。オンライン授業やリモートワークがその典型ですね。ただ、直接顔を合わせていなくとも学習や仕事の成果(質)は求められる時代となりつつあります。

 

②時間・場所・言語がボーダレスの時代へ

みなさん、「Zoom」というツールを耳にしたことのある方は多いと思います。2年前は今ほど知名度は高くなく、また技術に課題点もあったようです。しかし、2年間のテクノロジーの進歩とコロナの影響によるユーザー数増加で、誰にでも非常に使いやすいコミュニケーションツールに進化しました。

5Gの世界が到来し、今後数年のうちには、ストレスの全くないリモート環境が実現するでしょう。そこでは時間や場所に拘束されない自由な環境が待っています。そして、オンライン上では言語の壁すら超えたコミュニケーションが実現するでしょう。時間・場所・言語のボーダレス化は確実に起こってくると考えられます。

 

ウィズコロナ、ポストコロナ社会における留学のあり方

①オンライン留学

コロナ以前もオンライン学習は存在していましたが、コロナをきっかけにそれが急激に普及しました。今までは海外留学の「代替案」であり、ネガティブなイメージを持っていた方も大勢いたと推察します。それが、「どこでも学べる、どこでも働ける社会」となり、学生も社会人もそれに慣れてきた今、オンライン留学が自然と選択肢のひとつとなり、ひいては主流のひとつともなり得ると考えます。

 

【オンライン留学のメリットとデメリット】

  • メリット:
    • 思い立ったらすぐに実行できる
    • 時間と費用を最小限に抑えられる
    • 日本での活動と平行してできる
  • デメリット:
    • 英語に囲まれた環境を整えられない
    • 時差の問題で授業を受ける時間が深夜や早朝になる可能性がある
    • モチベーション維持

 

上記のように、オンライン留学のメリットとしてはやはり「効率性」が一番にきます。しかし24時間常に英語に囲まれた環境にするのは難しく、語学力をアップさせたい人にとっては、モチベーションの維持が最大の壁となり得るでしょう。

現地の国際交流プログラムや、学校主催のアクティビティに積極的に参加することで、留学している実感を持たせ続けるのが重要です。また、オンライン授業で一から海外の友人との関係を築くのも難しいでしょう。しかし、ポストコロナ社会での基盤は確実にオンラインとなります。オンライン留学の経験が今後、あらゆる面で役に立つことは間違いないでしょう。

このようにオンライン留学は、概して費用が安く、移動不要の気軽さもあり、オフライン留学の『代替』のみならず、『お試し』『準備』『新しい学びかた』として活用が進みそうです。それによって、逆に現地で文化や人々と触れ合うことへの関心が喚起され、将来的には留学数増加につながることが期待されます。

 

②留学生の増加

今後、コロナワクチンの接種が進み、海外渡航の規制が緩和された後は、留学生の急激な増加が予想されます。

なぜなら、過去、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2011年の東日本大震災で海外留学にストップがかかった翌年は、例年以上に留学生の数が伸びていたからです。2020年は海外の教育機関も留学希望者も、コロナの影響が予測できず不確定要素が多かったため、留学延期や辞退をする方が多く見られました。2021年は、アメリカでワクチン接種が進んでいること、学校側も早めに留学生の受け入れに関する情報を提供していること、現地の留学生から正確な情報を得られていることなどが功を奏し、多くの方が前向きに検討を進めています。

日本でも「ワクチンパスポート」が導入されることがあれば、留学はさらに加速するでしょうが、それにはまだまだ時間がかかりそうです。オンライン留学も進化しておりその効果も出てきていることから、オンライン留学との併用は今後も継続するでしょう。

 

まとめ

コロナウイルスは世界中に多大な影響を及ぼし、社会は急激な変化を遂げました。誰もが日常を取り戻したいと願う反面、もはやコロナ前に当たり前だった世界には戻らないことも私たちは理解しています。そして、すでに多くの人が「ニューノーマル」な社会に適応し始めているのも事実です。

今後は誰でも気軽に留学体験ができる社会になります。それと同時に、コロナ禍で「人と人との交流」の重要性が再認識されたことで、留学のあり方は社会とともに変化しながら、可能性を広げていくでしょう。

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